最高裁判所第二小法廷 昭和40年(オ)349号 判決 1966年3月18日
上告人(被控訴人・被告) 三興基礎工業株式会社
右代表者代表取締役 阪野鋭一郎
被上告人(控訴人・原告) 大和澄子
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人会社代表者阪野鋭一郎の上告理由について
上告人が原告において所論の事実を主張していないことは、記載上明らかであるから、原判決が所論の点について判示しなかったからといって、所論の違法はない。所論は、その前提を欠くものであって、理由がない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外)
上告理由
原判決には、審理不尽もしくは判断遺脱の違法があり、破棄を免れない、と信じます。
一、原審において、上告人は、営業の譲受に際し、新会社たる上告人が譲受くべき旧会社の債務を予め調査し、営業の譲受後である昭和三七年一二月開催された旧会社の債権者会議において、出席した債権者に対し、新会社が引継ぐべき債務(旧債)の範囲は、右調査の範囲に止ること。及びその支払は一年据え置かるべきことを通知し、その席上被上告人も出席して、その通知を受けたとの趣旨の事実を主張いたしました。
二、右の事実主張は、商法第二六条第二項後段の不適用事実を述べたものに外ならないので、所謂抗弁事実に該当することは明白だと存じます。
三、ところが原判決は、右抗弁事実について誤った事実摘示(単なる否認として扱う。)をしただけで、理由中で何の判断もしていません。従って、原判決は、明らかに判断遺脱か審理を尽さなかったものであり、民事訴訟法第三九五条第一項第六号に該当する違法の判決だと信じます。